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微生物のお話 その1 〜微生物とは?〜

豆知識 くらしの研究室

微生物とは?

微生物は人の肉眼では確認できない、小さな生き物のことです。
よく耳にする名前で言うと乳酸菌・ビフィズス菌・コロナウイルス。細菌・カビ・ウイルスなど、すべてひっくるめた総称です。
※ウイルスは自己増殖能がなく、他の生物に寄生して増殖するため、生物ではないという見方もあります。ここではウイルスも目に見えない生物の一種、微生物としています。

大きさは0.1mm以下で、形も丸かったり、細長かったりいろんな形をしています。
微生物はこれまでおよそ15,000種、発見されています。これは微生物全体数の1%にも満たないとされ、未確認の微生物はこの100倍以上の種類がいると推測されています。

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この微生物たち、一体どこにいると思いますか?
生肉や生魚?それともトイレや生ゴミを想像しますか?
微生物は私たちの身の回りや空気中・水中・土中などあらゆる所にいます。今この記事を読んでいるスマホやパソコン・マウスにもなんらかの微生物がいます。
また氷点下、100度以上の超高温、強アルカリ性、強酸性環境など人や動植物が生きていけないようなところにも微生物は存在するのです。

TVCMでテーブルや台所に菌がウジャウジャいる映像を見かけます。これを「怖い!汚い!」と感じる人がいると思いますが、菌がいることは当たり前のことで、「菌がいる」=「病気になる」訳ではなく、病気の原因になる菌がいるとその病気になる可能性があるということです。ただし食中毒やインフルエンザが流行する時期は未然に病気を防ぐために除菌は有効な手段の1つです。

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常在菌や腸内細菌という言葉をご存知の方も多いでしょう。微生物は私たち人間の皮膚や体内にも存在します。ではいつから私たち人間は微生物と一緒にいるのでしょうか?

気がつかないけど、産まれた時から一緒にいる微生物

赤ちゃんは母親のお腹の中にいる時は無菌状態です。出産時に産道をとおり母親の腸内細菌を受け継ぎます。帝王切開の場合は取り上げる医師や看護師、院内にいる菌が影響します。
生まれてすぐは出産方法により腸内環境に差がありますが、次第に腸内細菌は変化していきます。正確な原因はまだわかっていませんが、授乳や抱っこ、食べるものや室内外の環境など様々な要因が関係すると言われています。

人間の体にいる微生物「常在菌」

人体にはたくさんの常在菌が存在しています。口腔内はミュータンス菌など300〜700種が約100億個、皮膚にはブドウ球菌、アクネ菌など1,000種が約1兆個、腸内にはビフィズス菌、大腸菌など150種が約100兆個存在しています。
身体全部の常在菌は約1,000種、約100兆個、重さにすると約2kgほどになります。
常在菌は病原菌の繁殖を防いだり、ビタミンを作ったり、消化しきれなかったものを消化したりします。体力が低下すると常在菌のバランスが崩れ、下痢や感染症にかかりやすくなります。

腸内細菌は国によって差があり、「生海苔が食べられるのは日本人だけ」なんです。これは昔から生海苔を食べている日本人には生海苔を分解できる微生物を宿しているからといわれています。(焼き海苔は日本人以外も消化できる)
これは人間以外の生き物にも言えることです。草食動物には植物細胞の一部セルロースを分解できる微生物を宿しているから草を食べていけるのです。
では海や土壌など自然界にいる微生物はどのような働きをしているのでしょうか?

微生物の役割「分解」

微生物は生き物ですから、人間と同じように栄養をとり、増殖します。
この栄養をとる行為が分解であり、この分解の能力は私たちの生活に大きく影響します。
土壌でいうと落ち葉や動物の糞、死がいなどを微生物が分解。微生物がいないとこれら有機物が分解されず、そこらじゅうに溢れてしまいます。また多種の微生物により分解を繰り返し、植物の栄養となる無機物になります。微生物の力により、有機物の分解と植物への栄養の供給という重要な連鎖を担っているのです。

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2019年12月に新型コロナウイルスが流行して以降、私たちは感染予防のため、除菌してきました。病気の原因になる微生物や人間にとって都合の悪い微生物もいます。しかし世界初の抗生物質「ペニシリン」、味噌・醤油など発酵食品など微生物の恩恵を受けており、その可能性は計り知れません。おいしいものを食べて消化してくれるのも微生物のおかげなのです。

微生物はまだまだ未知の世界。生物の行動をコントロールできる微生物もいるので、そのうちストレスが緩和する微生物が出てくるかもしれませんね。そうなってくると病原菌のイメージで嫌う人は少なくなってきそうです。

今日もあなたの体に、周りにもたくさんの微生物がいます。人間の都合に振り回されることなく、自由に漂っています。今日はどんな微生物がいるのかなと考えてみるのもいいかもしれません。