こんにちは
研究部のcobaです。毎年のことですが熊本は残暑が厳しいです。早く涼しくなってほしいものです。
さて、今日は当社の微生物をメインとした土壌改良材であるバイオの惠の試験検証に関する話です。まあ、あまり堅い話にならないようにデータ取得の経緯なども含めわかりやすく解説できたらと思います。
データ取得の目的は以下の2点です
①バイオの惠が何で効いているのかの仕組みの解明
②さらなる改良のヒントを得るため
バイオの惠の効果を実感されて何年もリピートされている農家さんがいるのですが、効果メカニズムに関してはこれまでたぶんこうだろうという推測でしかなかったです。それが今回のデータ取得でかなりの裏付けが取れた気がします。
経緯ですが、昨年、熊本県にバイオの惠の開発に関する補助金申請をしていて、無事に採択されましたので九州大学の協力のもと、バイオの惠の植物生育の面からの解析を行いました。研究パートナーとして九州大学の農学部の大学院に目的とする解析を行っている土壌微生物の研究室があり、委託研究というかたちで検証を行いました。
検証結果は以下の資料にまとめました。
九大試験まとめ(PDF)
大きなくくりでいうと、「植物生育促進因子の評価」と「植物の根の近傍での菌の解析」の二つの検証を行いました。
ではまず「植物生育促進因子の評価」についてですが、関連するいずれの因子に対しても能力を有しており、非常に良い結果でした。
特に窒素固定可能については、空中窒素を固定化できる菌がいるということで、窒素肥料が低減できる可能性が期待できます。さらに肥料成分のリン酸やカリウムの可溶化能を有することは肥料効率のアップにつながりこちらも肥料低減につながると考えられます。
以上より、バイオの惠には植物生育促進効果という視点で非常に有用な菌が含まれていることがわかりました。補助金申請の目的は、この植物生育促進因子の評価でしたが、九大の先生がさらにいろんなことを調べてみたいと興味を持たれたので予定外で次の「植物の根の近傍での菌の解析」の検証を実施しました。
実は継続してバイオの惠をご使用いただいている八代のイチゴ農家さんがいて、九大の先生がぜひそこの土を解析してみたいとのことで、イチゴハウスの土をサンプリングして遺伝子解析を行いました。
解析の結果、バイオの惠を使用した畑の根の近傍にはバイオの惠と共通する細菌が11種類も検出されました。一方、根から離れた表土ではバイオの惠と共通する菌は1種類しか検出されませんでした。よって、バイオの惠の菌は根の近傍で何らかの重要な働きをしていることが強く推察されます。
さらに根の近傍で検出された11種類の菌のうち、一番多かったのがバチルスサブチルスで、このバチルスサブチルスは植物に多大な有益な効果を発揮することが多くの論文で報告されています。
この論文ではバチルスサブチルスが生育促進だけではなく病気に対する耐性にも大きく関与していることが報告されています。
いやぁ、実に素晴らしい結果です。繰り返し使用いただいている農家さんの中には病気に強くなったと実感されている方もおり、今回の実験と論文の報告からそれが裏付けられたといえるかもしれません。
今回の九大でのデータ取得はバイオの惠の効果を裏付ける貴重なものになったといえます。準備段階の熊本県への補助金の申請はなかなか大変でしたが、予定していた以上の追加検証まで行っていただきバイオの惠の実力を深掘りできた気がします。ただこれは、まだまだバイオの惠の効果のほんの一部に過ぎず、また様々な違った切り口でさらなる効果検証を継続していきたいと考えています。