こんにちは。ビッグバイオ研究部のtsuです。
全国的な大寒波の影響で、大雪の地域では交通網など、さまざまな影響が出ていましたね。お住まいの地域ではいかがでしたか?
弊社がある熊本でも山間部や海側では雪が積もりました。熊本は車移動が基本にも関わらず雪に慣れていないため、主要道路は大変込み合い、スリップや接触事故が発生していました。また雪で坂道を登ることが難しく、立ち往生している車もありました。
ちなみに弊社の様子です(2023年1月25日8時頃撮影)。
弊社は山の麓にありますが、数cm程度つもりました!!
(1) はじめに
日本では、世界でも珍しい発酵食品という文化が存在します。世界ではチーズやピクルス、アンチョビ、ナム・プラー、テキーラなどが有名ですが、日本のように微生物の発酵を利用した食品を複数種類扱っているのは、珍しいのではないでしょうか。
<以下画像はイラスト素材より取得した>
日本では食べ物として馴染み深い微生物ですが、近年、微生物の捉え方が大きく変わろうとしています。これまでは微生物を研究するにあたり、ある1種類のみを分離し、その分離した微生物について研究が行われてきました。もちろん、現在でもこの研究手法は微生物を知るための定石となっています。
ところが、近年では情報技術(IT)の発展や高性能な分析機器の登場により、大量のデータを一括で取り扱えるようになってきました。これまでは1つのデータに対して1つの解析が必要でしたが、現在は数百、数千といった数のデータを1度の解析で扱えるようになってきたのです。このことが、バイオテクノロジーという分野を大きく発展させ、これまで得られなかった知見が得られるようになってきました。こうして発展してきた結果、微生物の捉え方を大きく変えているのです。
(2)バイオテクノロジーと情報技術(IT)が融合すると・・・
バイオテクノロジーにおいては、ゲノム解読やゲノム編集といった技術革新があり、急速に発展してきている機械学習や深層学習といった人工知能(AI)の技術革新がありました。
バイオテクノロジーとITとの融合により、バイオテクノロジーが広範囲な産業基盤を支える「バイオエコノミー社会」が世界的に到来すると言われています。
例の1つとして、合成生物学という分野が挙げられる。この合成生物学とは、幅広い研究領域を統合し、生物の構成要素(組織、遺伝子など)を部品と見なし、それらを組み合わせて生命機能を人工的に設計したり、生物システムを構築したりすることです。
生物機能をデザインするとき、生物情報とITを組み合わせて、潜在的な生物機能を引き出した「スマートセル」の開発に繋がります。もともと生命機能として持っている機能をいつでも利用できるように設計したものをスマートセルと言います。
(3)これまで扱えなかったデータが扱える
これまで1つのデータを出すために、1つの解析をすることが定石でした。近年、バイオテクノロジーとITとを融合したことにより、1度の解析で大量のデータを取得することができるようになりました。
例えば、ゲノム解析がその1例です。大腸菌のゲノムを完全に決定しようとした場合、これまでは少しずつ遺伝子配列データを地道に組み合わせていくという手法が取られ、3, 4年という期間が必要でした。ところが、次世代シークエンサーと言われる機器とバイオインフォマティクスにより、数日で完結できるようになりました。次世代シークエンサーにより大量の遺伝子配列を取得し、バイオインフォマティクスを使ってPC上で遺伝子を再構築することでゲノムを完成することができるようになりました。
このように、プログラム技術を使って取得したデータを処理することにより意味を持たせられるようになったのです。それに伴い、数KB程度であったデータ容量も数GBを超すことも珍しくありません。このような大容量のデータが保存できるようなったことも大きな要因と言えるでしょう。
(4)もしかして微生物の可能性は無限大??
このように、バイオテクノロジーとITが融合することで、新たな可能性が広がっていると知っていただけたでしょうか?全体的な潮流を見てきましたが、ここからは微生物分野にフォーカスしていきましょう。
微生物のイメージ
先ほど、大腸菌のゲノム解析が短期間で完結するということを述べましたが、大腸菌だけではなく、他の微生物もぞくぞくとゲノム解析が進められています。そういった中で、これまでわかっていなかった機能を持っていることがわかり始め、工業的に利用しようとされ始めています。また、これまで培養が難しかった微生物の正体もわかり始め、新たな微生物のカテゴリも誕生しています。
化学合成でしか製造できないような物質と思われていたものが、実は微生物がもつ特有の代謝経路を使って合成できることがわかりました。また、普段生育する環境では使われていない機能があることもわかってきており、微生物にpHなどのストレスを与えることで機能することもわかってきています。他の事例として、微生物は単一機能していることは今まで知られていましたが、実は微生物が集団で存在する意義も明らかになりつつあります。単一で存在するよりも集団で存在している方が、それぞれの微生物間で共生関係が生まれ、ある種の社会ネットワークを形成しているようなのです。ハチやアリのような社会性ではなく、ある栄養分を変換して、別の微生物がその変換された栄養素を利用するといった経路が明らかになりつつあります。生育するためのコミュニティが形成されている可能性があるということです。私達は、この微生物コミュニティを農業分野で応用できなかと模索しているところです。
微生物の中には、これまでわかっていなかった機能がまだまだ存在していることが認知されつつあります。そのため、今まで予想打にしなかったことが起こる可能性を秘めています。農業や食品、医療・ヘルスケア分野にも応用されてきています。弊社のBB菌についても、研究を進めていく中で、環境浄化や家庭内の浄化に役立つ微生物を生み出そうとしているところです。
(5)最後に
バイオテクノロジーとITが融合した研究に関する事例をいくつか挙げてきました。ほんの一部ですが、急速に発展していることがおわかりいただけたでしょうか?これからは、特定の分野だけではなく、ITを始めとしたさまざまな分野を取り入れた研究開発が求められるようになってきそうです。
弊社の製品をお使いのお客様にも、より使いやすくそして、安全にお使いいただけるように開発を進めていきたいと思います。