社員ブログ

微生物の未来 〜 その2 微生物とバイオテクノロジー 〜

こんにちは。ビッグバイオ研究部のtsuです。

お盆休みに入る前から大雨で、甚大な被害に合われた方には、心からお見舞い申しあげます。

また、復旧・復興にご尽力されている皆様には、安全に留意され、ご活躍されることをお祈りいたします。

そして、一日も早く平穏な生活に戻られることを心からお祈りいたします。

 

  • はじめに

今回は微生物の未来 その2として、微生物とバイオテクノロジーの関わりを見ていくことにしましょう。

もし「その1 微生物がもたらすモノ」をご覧になってない方は、こちらからお読みいただけます!!

バイオテクノロジー(Biotechnology)とは、「バイオロジー(Biology)【生物学】」と「テクノロジー(Technology)【科学技術】」を合成した言葉で、日本語では「生物工学」または「生命工学」と訳されます。

生物またはその機能を利用、応用する技術のことで、酒や醤油、味噌作りといった発酵技術や遺伝子組み換え技術などがあります。

バイオ産業は今後、高い成長が期待されています。次世代の経済社会を牽引する産業の柱として、健康・医療分野、環境・エネルギー分野、素材・材料分野、食料分野などに重要な役割を担っていくと言われています。

 

  • バイオテクノロジーの発展と広がり

 

バイオテクノロジーは、遺伝子工学、タンパク質高額、細胞培養、組織培養、異生物学、発酵工学、バイオインフォマティクスなどを通じ、健康・医療・環境・エネルギー・素材・材料・食料など、幅広い分野で活用され、社会課題の解決や付加価値の増大に寄与しています。

近年のバイオテクノロジー分野では、ノーベル化学賞を受賞したゲノム編集技術(クリスパー・キャス9 / CRISPR-CAS9)が開発され、ゲノム編集が容易になったことから、代謝などの生物機能を人工的に設計した細胞などを合成する「合成生物学(Synthetic Biology)」が急速に発展しつつあります。アメリカ人の分子生物学 ジョン・クレイグ・ベンター(John Craig Venter)が合成生命の作成に成功した初めての例として知られています。

合成生物学の例として、新型コロナウィルスのワクチンが上げられます。これはメッセンジャーRNA(mRMA)を活用していますが、このゲノム配列さえ分かればワクチンの設計・製造が可能になります。危険性の高いウィルスそのものを扱う必要がなくなるのです。一般的なワクチンの開発は、例えば、麻疹ワクチンは実用化に9年、ポリオワクチンは20年という歳月がかかっていますが、新型コロナウィルスのワクチンは1年程度となっていることから革新的な技術であることが伺えます。

健康・医療分野では、CAR-T療法というがん治療法が実用化され日本でも承認されています。外科治療、抗がん剤、放射線治療に続く、第4のがん治療方法とも言われています。また、素材・材料分野では細くて高強度のクモの糸から繊維を作り、パーカーが販売されました。食品分野では植物由来のタンパク質を使いながら、人工肉を開発することも進められています。

 

  • 世界の動向

世界でもバイオテクノロジーを利用した取り組みが広がり、さまざまな可能性を示唆しています。2009年経済協力開発機構(OECD)が発表したレポート「The Bioeconomy to 2030: designing a policy agenda」によると、経済生産に大きく貢献する市場として“バイオエコノミー”という考え方を初めて提唱しました。このことから、世界でバイオエコノミーに対する機運が高まり、各国で国家戦略が策定されるようになりました。アメリカ、EU、イギリス、ドイツ、中国も、それぞれの戦略を出しました。

OECDによる資産によれば、バイオテクノロジーは2030年のOECD加盟国の国内総生産量(GDP)の2.7%(約200兆円)に寄与するとし、付加価値額ベース(GVA:Gross Value Added)で約110兆円としています。

 

  • 日本の動向

日本では、政府が2019年6月に「バイオ戦略」を策定しました。2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現することを目標にしています。

  1. 新型コロナウィルス感染症対策に関わる研究開発などの推進
  2. 市場獲得を実現するデータ連携促進
  3. グローバルバイオコミュニティ・地域バイオコミュニティの形成
  4. 焙煎楽に沿って遅滞なく取り組むべき基盤的施策
  5. バイオ戦略を推進する司令塔の機能強化

以上が概要となります。

 

  • バイオ産業の発展

さまざまな技術によってバイオテクノロジーは発展してきました。さらに昨今、急速に技術革新を遂げているIT分野と融合することにより、産業の新たな地平が拓かれようとしています。ご存知のように機械学習、深層学習、AIの技術的進化が急速に高まっています。これにより、コンピュータ上で設計したものが利用できるようになったり、ビッグデータを利用した生物機能をデザインすることにも利用できます。

 

事例1 コハク酸の製造

バイオ合成法 化学合成法
132 円/kg 変動費(うち原料) 165 円/kg
148 円/kg 固定費(うち減価償却) 135 円/kg
280 円/kg 合計 309 円/kg

化学合成法は、石炭、石油、ガスなどから複数のステップを経てコハク酸が合成されますが、バイオ合成法では微生物を培養し、精製するだけでコハク酸を得ることができます。

 

事例 2 アクリルアミドの製造

二酸化炭素の排出量は化学合成法よりもバイオ合成法の方が少なく、約70%がバイオ合成法で製造されています。

 

  • 微生物とバイオテクノロジー

これまで、バイオテクノロジーがどのような技術なのかお分かりいただけたでしょうか?

聞き慣れない言葉も多かったかもしれませんが、こういうものかとご理解いただけたら幸いです。

先述しましたが、酒や醤油、味噌作りといった発酵技術はバイオテクノロジーを利用した代表的な技術です。これら以外に、パン、食酢、抗生物質、旨味成分として知られているグルタミン酸やイノシン酸、アミノ酸も微生物の代謝機能を利用して生産されています。

例えば、パンはご存知の通り酵母を使って作られます。ただ単に酵母といっても、その種類は複数種類存在します。実は酵母の個性がパンの個性につながることはご存知でしょうか?酵母の種類によって、甘い味わいであったり、モチモチ感が増したり、濃厚な食味になったり、強い香りになったりとさまざまな顔を見せてくれます。また、帆立貝の養殖・加工時に廃棄物となる部位があります。その廃棄物を再資源化しようとする試みもあります。そして、大腸菌を使って水素を作ろうとする取り組みもあり、実用化まで後一歩というところまで来ています。

 

  • 最後に・・・・・・

私達ビッグバイオでは、「自然に戻そう、自然の力で」をコンセプトに、微生物を利用した取り組みをしています。

自然に存在する微生物を使って、

と、まずは身近なお困りごとから解決していきます。

 

 


tsu

tsu

研究部 技術開発課に所属するtsuです。時々、社内SEもしています。 研究開発に従事する傍ら、データ分析を行ったり、アプリケーション開発も行ったり、データサイエンス関係もしています。研究分野とIT分野が融合すれば、面白いですね。 専門はバイオテクノロジーです。

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