微生物の未来 〜 その1 微生物がもたらすモノ 〜
こんにちは。tsuです。早いもので、もう梅雨入りした地域も出ましたね。
熊本も5月中旬に梅雨入りし、雨が降れば大雨警報が出るほどです。
熊本は熊本地震や豪雨災害を経験してきました。
河川の近くに住んでおられる方は、常日頃から防災対策を心がけましょう。
本日からブログを始めさせていただきます。
微生物の良さをもっと知っていただけるように発信していきますので、
よろしくお願いします。
・はじめに
この世の中は微生物だらけ。
例えば、1gの土中には数10億、一人の体内には100兆を超える微生物がいると言われています。
肌 | 常在菌 |
口腔内 | 虫歯原因菌 |
胃 | 胃がんの原因と言われるピロリ菌 |
これまで人類が発見した微生物はおよそ1万種類ほどで、地球上にはその10倍から100倍の微生物種が存在していると言われているほどです。
実はヒトの生活空間も微生物だらけで、普段私たちと共生しています。
私たちとは、切っても切れない存在と言えるでしょう。
・微生物がもたらすモノとは?
人類は微生物を利用してきた歴史があります。
特に日本では、
- 味噌
- 醤油
- 漬物
- 酒
など、毎日口にする食品に利用されています。
味噌 | 麹菌、酵母、乳酸菌 |
醤油 | 麹菌、酵母、乳酸菌 |
漬物 | 麹菌、酵母、酪酸菌 |
酒 | 麹菌、酵母、乳酸菌 |
納豆 | 枯草菌(納豆菌) |
チーズ | 乳酸菌、プロピオン酸菌 |
これらの微生物を管理することにより、異なる風味や味を生み出すことができます。
その他にも、抗生物質に代表される医薬品や、バイオ燃料に至るまで微生物が生産し、どれを欠いても私たちの快適な日常生活は成り立たないものになります。
病気を引き起こす病原微生物も多数いますが、こちらの方が一般的にはニュース性が高くなります。
もしかするとマイナスイメージの方が強いかもしれませんね
H・G・ウェルズが1898年に発表した「宇宙戦争」という小説でも、トライポッドと呼ばれる戦闘機械は、人間の武器ではなく、病原菌で倒したということがありますね!
・微生物の未来
微生物は種が多様というだけではなく、生息する環境もまた非常に多様です。
- 強い酸性、アルカリ性の環境下
- 海底火山から吹き出る熱水の中
- 北極や南極の氷点下
- 地下深くの高圧環境
- 無酸素環境
なども。
さらには、普通の生物には猛毒の有機溶媒や人間の致死量の数倍の放射線下など極限環境にも適応しています。
例えば、海底火山から吹き出る熱水の中に存在する微生物を利用して、PCR技術が完成したと言えます。
昨今ではコロナ検査で話題ですね!
実は、PCRの原理を考えたのは日本人ということはあまり知られていない事実!
さらには、多種多様な微生物からなる「微生物叢」(マイクロバイオーム)の研究が盛んに行われています。
本格的に始まって、まだ15年ほどと比較的歴史は浅いです。
そう遠くない未来、
- プレバイオティクス(有益な微生物が育つ基質として働く化合物)
- プロバイオティクス(有益な微生物そのもの)
- 便移植(健康なドナーから提供された微生物が豊富な便)
などの形で、健康な微生物を人体に投与することが普通になるかもしれません。
最新の研究によれば、アメリカのカルフォルニア大学サンディエゴ校で微生物叢(マイクロバイオーム)を研究するロブ・ナイト博士(TEDでも有名ですね!)によれば、一人ひとりが持つ微生物の顔ぶれはそれぞれ独自なもので、他の誰とも違っているそうです。
彼はこの特有の性質を犯罪科学に応用できるかもしれないと考えています。
皮膚の微生物叢の痕跡と照合することで、犯人が触れた物体をたどって、本人までたどり着くことができるようになるとのことです。いつの日か微生物によって、犯人が特定される日が来るかもしれませんね。
ビッグバイオでは、微生物の力を使って環境負荷の低減や省エネルギー、省資源を実現しようとしています。個人的には、環境から農業に至るまで、このマイクロバイオームが重要な切り口になるのではないかと思っています。
元々自然界に存在する微生物を利用することで、これらを実現できるのではないでしょうか?
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今後とも、よろしくお願いします。
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tsu
研究部 技術開発課に所属するtsuです。時々、社内SEもしています。 研究開発に従事する傍ら、データ分析を行ったり、アプリケーション開発も行ったり、データサイエンス関係もしています。研究分野とIT分野が融合すれば、面白いですね。 専門はバイオテクノロジーです。