今まさに日本の農業の転換点かも!?
今回は日本の農業の話をします。といっても何かを深く語れるほどの知識も経験も無いですが、間違いなく日本の農業は大きな変換点に差しかかっているようです。
今年の5月に農水省から「みどりの食料システム戦略」というものが出されました。日本の農業の課題や今後の方向性などが示されているのですが、その中で「有機農業の取組面積拡大」が掲げられ、2050年までに耕地面積の25%まで持っていくと数値目標が設定されました。
これまでにも2006年に有機農法推進法が制定され少しずつ下地作りがされてきましたが、なかなか有機農法は普及せず、現在でも野菜の全流通量の1%程度に留まっています。そんな状況でこの25%という数値目標の設定はすごいことだと思います。
農水省も本気で有機農業の普及に取り組む決意をしたことが伺われます。その背景には現在の主流である化学肥料と農薬を使った農業に限界を感じているのでしょう。農薬を使うことで耐性菌の発生を助長しさらに強い農薬を使うという悪循環になります。また病原菌だけでなく土壌中の有用な微生物まで全て殺してしまい、多様な微生物が活動して豊かな土壌を作るのですがその仕組み自体が失われてしまいます。持続性のある農業とは逆の方向に行ってます。
最近は長年有機農業に取り組んでいる農家さんとお話をする機会を積極的に持つようにしています。その方々は現在の主流である化学肥料と農薬の組み合わせの農業の問題を以前からしっかり理解され、それらに頼らない有機をベースとした農業に取り組まれています。単一作物の連作を避けて、地力回復のため輪作したり、あえて農地を休ませたり、投入する堆肥や稲わらなどの有機資材にも気を使ったり、いろいろ工夫されています。農薬に頼らなくてもちゃんとやれているようですしとても勉強になります。
さて、国の方針も含め、持続可能な有機農業への転換はこれから徐々に進んでいくと思われますが、様々な微生物資材を保有している当社も何らかの形で貢献できたらと考えています。
以前、バイオの惠という土壌改良剤を紹介して生育促進効果があることをこのブログで書きましたが、今回はその続きを報告しようと思います。
生育試験では一定期間植物を育てて葉の長さや重量などの計測してデータを取得したらそこで終了なのですが、そのあと植物を屋外に放置して虫に食わせる実験をしてみました。もちろん無農薬で。その結果がこちらです。
左の3ポットが「バイオの惠」使用群で、右の3ポットが何も添加していない未使用群です。同じ場所に置いていたにもかかわらず明らかに右の3ポットの方が虫食いが多いです。虫の正体はモンシロチョウの幼虫の青虫です。多少雑な実験ですが、同じ場所に置いててこれだけの差が出るということは、何か原因がありそうです。一般的に化学肥料を使いすぎると成分である窒素が硝酸体窒素という形で植物の中に入っていきます。硝酸体窒素は虫の大好物でこれが多く取り込まれすぎると虫を引き寄せてしまうことになります。今回の実験で使用した土はホームセンターに売っているそのまま使える培養土で、いろいろなものが配合されており、その中には肥料成分も入っています。なので虫を引き寄せる下地はあると思うのですが、バイオの惠を添加した群では虫食いが比較的抑えられていることから、微生物の働きで植物の窒素過多の状態が防げているのかもしれません。「バイオの惠」は単なる生育促進に留まらずもしかしたら病害虫に強い作物の生育にも役立つかもしれません。
今回は生育試験後のポットを使った簡単な実験でしたが、今後はポット数を増やしたり、実際の屋外圃場で評価できたらと考えており、今その準備を行っています。当社の微生物が将来の日本の農業の転換に微力ながら貢献出来たら嬉しいです。
coba
製薬メーカーからの転職組で研究部で働いています。週末は釣りばっかりしてます。 オミクロンは感染力が強くてなかなか厄介ですね。まあ春が来ない冬は無いのでもうしばらく辛抱しましょう。